コンビニもカップ麺もない時代、夜更けの食欲は夜鳴きそばの屋台
が満たした。チャルメラの哀調に、寝たはずの腹の虫が共鳴したもの
だ。耳の条件反射とでもいうのか、終業のチャイムは解放感を醸し、
緊急車両のサイレンは胸騒ぎを催す
「テレビの地震速報が鳴るたび、5歳の娘が近くの人に抱きつくよ
うになった」。週刊誌のアエラに、都内の主婦(39)の話があった
。耳目を引こうと不協和音を重ねたあのチャイム。「意図された不快
音」にどれほど身構えただろう
気象庁は4年前から、最大震度5弱以上の地震を予測すると、揺れ
が強そうな範囲に緊急速報を出している。震災前までは、17回中
12回で想定した地震が起きた
が、あの日を境に「打率」が落ちた。48回も出したうち、想定通
りは本震を含め16回、あとは震度2以下の地域にも速報してしまい
、最大でも2という「空振り」も12回。逆に、震度5級を7回見逃
した
同時に起きた余震を、計器が大地震と勘違いするらしい。気象庁は
恐縮するが、3割当たればオオカミ少年ではないし、打者と同様、見
逃しより空振りがいい。5歳には気の毒だが、身構えて終われば幸い
である
各地の震度がすぐ報じられる様子に、慣れない外国人は驚嘆すると
いう。苦い経験から硬軟の技を紡いだ地震国らしく、この悲しみ、悔
しさも必ずや知恵に変え、津波から反射的に身を守るすべを磨こう。
二度と災害に泣かない故郷こそ、亡き人の願いだ。一粒の涙も無駄に
すまい。
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